人材育成ロードマップとは、経営戦略の実現に必要な人材像に向けて、1年目・3年目・5年目といった時間軸でどのように成長させていくかを示したものです。階層×育成手段を整理する教育体系に、「いつまでに、どこまで到達するか」という時間軸の視点を加えたものだと捉えると分かりやすいでしょう。
研修は実施しているが、単年度の企画にとどまり中長期の見通しがない
階層が上がるタイミングで、育成が途切れてしまう
「いつまでに、どのレベルになってほしいか」を言語化できていない
経営方針が変わるたびに、育成の優先順位が場当たり的に変わる
思い当たる項目がある場合、「今年、何の研修をするか」ではなく「何年後に、どのような人材になっているべきか」という時間軸から逆算できていないことが原因かもしれません。人材育成ロードマップは、この時間軸を可視化するための考え方です。
人材育成ロードマップとは、経営戦略の実現に必要な人材像に向けて、1年目・3年目・5年目といった時間軸で、どのように成長させていくかを示したものです。単年度の研修計画とは異なり、複数年にわたる成長の道筋を一枚で見渡せる形に整理する点が特徴です。
一言で言うと、「いつまでに、どこまで到達するか」を時間軸で示した人材育成の地図です。似た言葉に「人材開発ロードマップ」がありますが、KeySessionでは実務上、ほぼ同義のものとして扱っています。
「人材育成計画」「教育体系」「人材育成ロードマップ」は役割が異なります。KeySessionでは実務上、次のように整理しています。
| 用語 | 主な役割 | 軸 |
|---|---|---|
| 人材育成計画 | 人材育成全体の方針・年間計画を定める | 方針・単年〜複数年 |
| 教育体系 | 階層・役割ごとに育成施策(OJT・Off-JT・自己啓発)を整理する | 階層×育成手段 |
| 人材育成ロードマップ | 中長期の時間軸で、階層をまたいだ成長プロセスを示す | 時間軸(年次) |
教育体系が「ある時点での階層ごとの育成施策一覧」だとすれば、人材育成ロードマップはその施策を何年目に実施し、何年目にどのレベルへ到達するかという時間の流れを加えたものです。教育体系そのものの作り方は「教育体系とは?作り方・構築の手順と見直し方を解説」で解説しています。
単年度の研修計画だけでは、次のような問題が起こりやすくなります。
人材育成ロードマップを作ることで、単年度の施策を中長期のゴールから逆算して設計できるようになり、育成の一貫性と社員の納得感を両立させやすくなります。
特に効果が大きいのは、経営層・管理職候補の育成です。次世代リーダーの育成には数年単位の準備期間が必要になることが多く、単年度の視点では「気づいたときには手遅れ」という状態に陥りやすいテーマです。ロードマップによって、着手すべきタイミングを前もって可視化できます。
人材育成ロードマップには、一般的に次の要素を含めます。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 期間区分 | 1年目・3年目・5年目など、節目となるタイミングの区切り方 |
| 到達目標(人材像) | 各期間の終わりに、どのような役割・能力を身につけているべきか |
| 対応する育成施策 | 到達目標に近づくために、各期間で実施するOJT・Off-JT・自己啓発など |
| 評価・確認方法 | 目標に到達できているかを確認する評価指標・タイミング |
この4つの要素を、階層(新入社員・若手・中堅・管理職など)ごとに整理すると、次章で紹介する作り方の土台になります。
人材育成ロードマップは、次の5ステップで整理すると作りやすくなります。
STEP4までは、具体的な研修メニューを決めずに「到達目標」だけを固めるのがポイントです。目標が先に決まっていないと、育成施策が場当たり的に積み上がってしまいます。到達目標の書き方に迷ったら、下記でダウンロードできるテンプレートの「目標設定のヒント」シートも参考にしてください。
上記の要素をそのまま入力できる形式で、人材育成ロードマップの無料テンプレートを配布しています。Excel・Googleスプレッドシートで開いて、自社の内容に書き換えるだけで使えます。
無料テンプレート・Excel形式(全4シート)
人材育成ロードマップシート
①ロードマップ(記入用)②階層別シート③目標設定のヒント(SMART)④使い方ガイドの4シート構成です。自社の内容に書き換えるだけで、1年目・3年目・5年目のロードマップを整理できます。
ご入力いただいたメールアドレス宛に、ダウンロードURLをお送りします。送信をもってプライバシーポリシーに同意したものとします。
従業員200名程度のBtoB企業を想定し、新入社員から管理職候補までのロードマップを、階層×年次のマトリクスで整理した例です。実在の企業の制度ではなく、考え方を理解するための例としてご覧ください。
実際に作成する際は、この例に育成方法(OJT・Off-JT・自己啓発)や評価指標の行を加えると、より実務で使えるロードマップになります。育成方法の整理には教育体系、記載項目のたたき台には人材育成計画のテンプレートもあわせてご活用ください。
人材育成ロードマップは、作って終わりではなく、次のようなタイミングで運用・見直しを行います。
ロードマップは経営戦略と連動するものなので、戦略が変わればロードマップも変わるという前提で、固定化しすぎないことが運用のポイントです。
到達目標を書く際は、「成長する」「活躍できるようになる」のような曖昧な表現を避け、誰が見ても達成の有無を判断できる行動レベルまで具体化することが、運用時の振り返りをしやすくするコツです。目標の具体化の仕方は、無料テンプレートの「目標設定のヒント」シートも参考にしてください。
人材育成ロードマップづくりは、次のような理由でつまずくケースが少なくありません。
こうした場合は、外部の支援を活用するという選択肢もあります。KeySessionの人材育成計画 策定支援では、現状診断から求める人材像の整理、中長期のロードマップ設計までを、経営戦略から逆算する形で支援しています。
人材育成ロードマップは、経営戦略から逆算したゴールに向けて、1年目・3年目・5年目といった時間軸で成長プロセスを示したものです。教育体系が階層×育成手段を整理する「静的な地図」だとすれば、ロードマップは時間軸を加えた「成長の道筋」だといえます。
作成する際は、先に研修メニューを決めるのではなく、ゴールとなる人材像・現在地・期間区分・到達目標の順に整理し、最後に育成施策と評価指標を紐づけることがポイントです。
ロードマップを具体的な育成施策まで落とし込みたい場合は、人材育成計画の立て方・策定支援もあわせてご覧ください。
人材育成ロードマップだけでなく、教育体系・求める人材像・年間人材育成計画まで整理したい企業は、人材育成計画の策定支援をご覧ください。